高カルシウム血症HypercalcemiaのReview JAMA

今週のJAMAに高Ca血症のReviewが載ってました。かなり勉強になりましたので共有

Hypercalcemia: A Review. JAMA. 2022 Oct 25;328(16):1624-1636. doi: 10.1001/jama.2022.18331.

 

———————————————————-

疫学的には9割が原発性副甲状腺機能亢進症primary hyperparathyroidism (PHPT)と悪性腫瘍で占められる。

全人口の1%が高Ca血症、悪性腫瘍を基礎疾患に持つ患者の2%が高Ca血症あり

 

 

 

Caは生体内では骨形成や細胞内シグナル、神経伝達、筋収縮、ホルモン分泌など様々なものに関わる。血液中の50%がイオン化しており生物学的活性をもつ。

アルブミンとの親和性はpHに依存する

例)過呼吸では呼吸性アルカローシスによりpH上昇→Caとアルブミンの親和性上昇によりイオン化Ca減少→低Ca血症の症状出現。血液中のCa絶対量が変化するわけではないので生化学検査での異常はでない(血液ガス分析ではイオン化Ca減少が分かる)

 

 

Caは生化学検査ではmg/dL単位で検査が返ってくるがmmol/Lに直すには4で割ればよい。

12mg/dL(3mmol/L)以上で高Ca血症

重症は14mg/dL(3.5mmol/L),もしくはイオン化Caで10mg/dL(2.5mmol/L)以上

 

 

CaはPTH,ビタミンD,腎排泄,消化管からの吸収により体の中で調節されている

血液中のCaは厳密にコントロールされており、副甲状腺のCa感受性受容体が低Ca血症を感知するとPTHを分泌し、PTH刺激により

・骨吸収促進

・遠位尿細管とヘンレループでの再吸収亢進

・近位尿細管での25-ビタミンD⇒1,25-ビタミンD変換刺激(1,25ビタミンDにより消化管でのCa吸収亢進)

の3つの方法でCaの恒常性を保とうとする

 

—————————————————————

高Ca血症の症状

筋骨格系
・倦怠感
・筋力低下

腎臓
・腎性尿崩症
・多尿
・多飲
・腎不全

消化管
・食思不振
・嘔気嘔吐
・便秘
・膵炎

神経
・腱反射低下
・集中力欠如
・無気力
・意識障害(軽度~昏睡まで様々)

心血管
・PR延長
・QT延長
・QRS延長
・徐脈性不整脈

 

 

アルブミンの値によりイオン化Caの量が変わるのでアルブミン補正を行うこともあるが、文献的にはアルブミン補正の正確性を示したものは乏しい

高Ca血症の臨床症状はイオン化Caに依るので可能であればイオン化Caをチェックする(正常範囲は1.4-2mmol/L)。

 

———————————————————————————

高Ca血症の原因

・PHPT

・悪性腫瘍

・甲状腺機能亢進症

・肉芽腫性疾患(サルコイドーシス、結核)

・不動immobilization

・遺伝性疾患

・薬剤(サイアザイド、カルシウム製剤、ビタミンD、ビタミンA)

など

 

 

 

————————————————————————

高Ca血症の鑑別の仕方

まずはPTH依存性かPTH非依存性かの評価のためPTHの測定をする

PHPTではPTHは上昇または基準値であり、その他の疾患による高Ca血症ではPTHは抑制される。

PTH <20 pg/mLならPHPTは否定的

 

25-hydroxyvitamin D上昇
ビタミンD中毒を示唆しており、血清濃度は100-150ng/mLを超えることが多い。使用している薬剤をチェックする

 

1,25-hydroxyvitamin D上昇
肉芽腫性疾患や血液腫瘍が疑われる。101人の1,25ヒドロキシビタミンD上昇による高Ca血症の患者を集めた文献では49%がサルコイドーシス、17%が血液悪性腫瘍、8%が感染症だった。

 

悪性腫瘍がなくビタミンDも正常
⇒Uncommonな疾患(褐色細胞腫やアクロメガリー)、不動に伴う高Ca血症immobilization-related hypercalcemia、PTHrP産生腫瘍、骨溶解をきたす転移性腫瘍、骨髄腫、甲状腺機能亢進症、薬剤(サイアザイド、ビタミンA、サイロキシン製剤、PTHアナログ)

これらの鑑別には血液のリン、マグネシウム、尿中Caなどが鑑別に役立つ

—————————————–

高Ca血症の治療

偶発的に見つかるような無症候性のもの、慢性経過のものは治療を要することは少なく原因を排除すればよい。

急性経過や重症(血清Ca 14mg/dL以上)、症候性のものは高Ca血症として治療を要する

 

高Ca血症は脱水を伴うことが多いためまずは細胞外液を大量投与(200-300mL/h)
ビスホスホネート製剤の静注を行い、カルシトニン製剤はオプションで投与してもよい

ループ利尿薬もCa排泄促進させるが低K血症や腎機能障害増悪をきたすおそれがあるため注意
ステロイドも有効で、消化管からのCa吸収減少や1,25デヒドロキシビタミンDの合成が減少する、また尿中のCa排泄増加もできる

 

心不全や腎不全があり、高用量の輸液負荷に耐えられない場合は血液浄化療法を行う

それぞれの治療がどれくらいで効果を発揮するかは覚えておく!