遺伝性TTP

遺伝性の血栓性血小板減少性紫斑病Thrombotic Thrombocytopenic Purpura TTP

N Engl J Med 2019;381:1653-62.

DOI: 10.1056/NEJMra1813013

 

遺伝性TTPはADAMTS13遺伝子変異によって起こる常染色体劣性遺伝の疾患

 

遺伝性TTPの患者は一見すると健康そうに見えるが常に致命的な血栓症のリスクにさらされている。

 

VonWillebrand factor VWF上にADAMTS13が発現している。

血管内皮細胞が合成したVWFは血管内皮細胞の刺激により血流へ放出される。

ADAMTS13の存在によりVWFは丸まった状態になっているため血小板と結合しにくい状態となっているが、ADAMTS13が欠落しているとVWFが丸まらないため長くなり、血小板へ曝露し結合しやすくなる。

この巨大なVWFが微小血管に詰まることで塞栓症が起こる。

 

遺伝性TTPは希少疾患で、有病率は100万人に0.5-2人程度と言われる。

 

遺伝性TTPの患者は普段は無症状だが血栓症リスクが著明に高くなるイベントがいくつかある。

出生時⇒新生児黄疸。稀であるため診断がしばしば遅れがちで出生34時間で高ビリルビン血症・貧血・血小板減少で亡くなることも多い。

妊娠⇒日本のコホート研究では遺伝性TTPと診断される患者の38%が妊娠中だった。

前子癇が25週以前に起こる場合は遺伝性TTPを鑑別に挙げる。

 

その他TTPを誘発する因子は

感染症

外傷

薬剤

過量の飲酒

これらは血管内皮細胞からのVWF分泌を促進するため

しかしながら急性のTTPは明らかな誘発因子がなく微小血栓症も無症状になることもしばしば。

 

TTPの症状

中枢神経異常 80%(含むTIA、脳卒中 5-20%)

心筋梗塞 4%

急性腎障害 7% ただしHUS(60%)と比較するとだいぶ少ない

TTPでは血小板減少は10000-30000/mm^3が中央値

 

 

遺伝性TTPと2次性TTPの鑑別

遺伝性TTPのほうが血小板減少や溶血性貧血がないのにTIAなどの血栓症を起こしやすい。血小板減少は軽度のことが多い。血漿交換後に速やかに血小板減少が改善する。

 

 

治療

血漿Plasma輸血が急性の遺伝性TTPでは有効だが重症例では早期の血漿交換を考慮する(重症例は無治療の場合致死率90%)

 

TTPに対して血漿輸血を行った場合、ADAMTS13活性の半減期は2.5-3.5日

10-15mL/kgの血漿投与を行った場合、ADAMTS13活性が患者本来のベースラインに戻るまでは5-10日かかる。患者の症状、血小板数に基づいた治療を行ないたい。

 

 

 

 

参考

TTPのClinical problem solving

キニンが原因でTTPになった症例

N Engl J Med 2017;376:74-80.

DOI: 10.1056/NEJMcps1606750