NEJM 鼻出血

NEJM review Epistaxis
N Engl J Med 2021;384:944-51.
DOI: 10.1056/NEJMcp2019344

 

鼻出血Epistaxis≒NosebleedはCommon diseaseでUSではER受診患者の200人に1人程度の頻度で受診する。
生涯で鼻出血を経験するのは60%の患者でそのうちの6%の患者には背景に基礎疾患や薬剤が関わっている。
特に対応に苦慮するのは心血管系疾患(抗血小板薬・抗凝固薬)、凝固障害、血小板機能障害の患者である。

多くの症例では鼻出血は特に誘因なく起こる。

リスクファクター

  • 局所の問題
    鼻腔乾燥
    外傷
    経鼻薬剤投与
    感染症
    炎症
    腫瘍

 

  • 全身性の問題
    悪液質
    白血病
    動脈硬化
    高血圧
    うっ血性心不全
    特発性

 

遺伝性毛細血管拡張症Hereditary hemorrhagic telangiectasia HHTは(オスラー病)は5000人に1人の頻度で起こる疾患で鼻出血をきたす疾患として有名

  • 鼻出血(自然かつ反復性であること)
  • 皮膚粘膜の毛細血管拡張症 (口唇、口腔、手指、鼻など)
  • 内臓の血管病変 (胃腸の毛細血管拡張、肺・脳・肝臓・脊髄などの動静脈奇形)
  • 家族歴 (親子兄弟にオスラー病と診断された人がいる)

上記4項目中3項目当てはまるとほぼ確実にHHTである

 

 

鼻は血流豊富な臓器であり内頚動脈・外頸動脈両方の血流を受けている。

鼻出血の80-90%はKiesselbach plexusとよばれる鼻中隔の前下端での出血である。ここは内頚動脈系のanterior ethmoidal、外頸動脈系のsphenopalatine, greater palatine, and superior labial  arteriesからの血流を受ける。この部位の出血は圧迫可能であり容易に止血できる。

鼻出血の10-20%は鼻腔後方での出血であり、sphenopalatine and ascending pharyngeal arteriesから血流を受けている。

後方での出血は圧迫できないため止血が得られにくく気道トラブルや誤嚥のリスクとなる。

 

 

評価
鼻出血は血液汚染や体液汚染のリスクがあるため各施設のガイドラインに基づいた感染対策が必要
患者が到着したらまず評価すべきはABCDアプローチでのABC(特にAirway)である。

病歴で聴取すべき項目
出血量と頻度
外傷や刺激の有無
鼻以外からの出血や紫斑
耳鼻咽喉科手術既往
内服薬剤
家族歴

 

前述のように前方での出血が多いためまず圧迫止血を試みる。
圧迫止血は15-20分実施する。
実施後は鼻腔内の観察を行い、止血していればリスクファクターに応じてフォロー不要、要を判断する。鼻出血時の対応について教育しておくこと。

 

  • 持続性に出血がある場合
    出血点が分かる場合は局所血管収縮薬(ボスミン)やトラネキサム酸塗布を行う
    出血点不明の場合はガーゼパッキングを行う
    抗凝固薬・抗血小板薬を内服している患者では
    後方出血
    血行動態不安定
    Hb 2g/dL以上低下

がある場合は薬剤のの拮抗や休薬、輸血を考慮する。

 

 

圧迫(パッキング)について

鼻骨含む顔面骨骨折、頭蓋底骨折が疑われる場合はパッキング禁忌

パッキングの合併症は稀ではあるが、鼻中隔穿孔や誤嚥、Eustachian管の機能不全、OSAS、異物反応、トキシックショック症候群