N Engl J Med 2020;383:2066-76.
DOI: 10.1056/NEJMcpc2027077
72歳女性 暗色尿 虚弱
診断:人工弁リークによる溶血性貧血
Key:溶血性貧血の鑑別
25年間前に僧帽弁・大動脈弁の機械弁弁置換を行われている72歳女性。
2週間ほどの経過で虚弱・暗色尿、そして貧血が進行してきた。
今回の受診前の2週間前のHbは12.5g/dLだったが受診時には8.4g/dLまで低下
MCVは正球性で尿検査で沈査と尿潜血の解離あり、ヘモグロビン尿だった。ハプトグロビンも低下しておりこの患者の溶血性貧血の原因は何か?
鑑別 溶血性貧血
まずはざっくりカテゴリー分けする
血管内 or 血管外
血管外(脾臓やその他網内系での消費)
・赤血球の異常⇒球状赤血球症や鎌状赤血球症など
・自己免疫性⇒AIHA
・脾機能亢進
血管内
・物理的破壊⇒機械弁やTMA
・毒性
・TMA
・補体による溶血(PNH)
・薬剤性(G6PD欠損症では酸化ストレスにさらされると溶血する(ダプソン・ニトロフルイトラン・キノロン・ソラマメ摂取)、βラクタマーゼ阻害薬やNSAIDsは薬剤性の溶血性貧血の原因となる)
尿検査所見の解離とハプトグロビンの低下があれば血管内溶血と判断する。
この患者は血管内溶血パターンだった。
身体診察でMR所見あり、経食道心エコーを行うと僧帽弁と大動脈弁の機械弁のわきにリークあり、物理的な溶血と判断した。
この患者は再度手術を行い機械弁の僧帽弁を摘出すると弁輪部に著明な石灰化あり
手術後は貧血も改善していった。