三叉神経痛

三叉神経痛
N Engl J Med 2020;383:754-62.
DOI: 10.1056/NEJMra1914484

 

三叉神経痛は臨床診断で、3つのクライテリアから診断される
1.痛みは三叉神経の支配に一致し、領域が限定されている
2.痛みが発作的であり、突然発症、激しい痛み、痛みは1秒から2分持続(時に数分持続)
痛みの性状は“ショック”や電撃的“
3.顔面の刺激により痛みが誘発される

 

痛みが誘発されるのが特徴的で91-99%の患者で再現される
“ナプキンで上唇を拭く”“顔面の特定の場所に風が吹きかかる”など
三叉神経の上顎神経Ⅴ2,下顎神経Ⅴ3領域の症状が多い
症状の頻度は右>左
両側性は稀であり、両側性の場合はその他疾患の可能性を考慮する
症状の頻度は女性>男性
三叉神経痛が出現しているときは顔面を注意深く観察すると“tic convulsif,”(チック痙攣)と呼ばれる顔面の動きがみられる
痛みは数秒~2分程度の持続時間であることが多い

24-49%の患者は持続痛を訴え、焼け付くような・刺されるような・痛みでこのタイプは“2型の三叉神経痛”や非典型三叉神経痛と呼ばれる

2型は1型(通常型)と比較しNaチャネル阻害薬や血管圧迫解除での痛みの改善の程度が弱い

痛みの性状からは2型はC線維の障害と考えられる

 

三叉神経痛の原因
頭蓋内の血管が三叉神経根を圧迫(多くは上小脳動脈)
多発性硬化症や小脳橋角部の腫瘍(15%)
頭蓋外の神経走行の障害
原因不明(10%)

解剖の評価にはMRIが有用

 

 

病因
橋に入る部分では三叉神経含む末梢神経はシュワン細胞のミエリン鞘はなく、中枢のオリゴデンドログリアによって包まれている。
このシュワン細胞とオリゴデンドログリアの移行部はダメージを非常に受けやすいため血管による圧迫や多発性硬化症による影響を受けてしまう。この脱髄の影響を受けやすいのがAβ線維

末梢神経の髄鞘⇒シュワン細胞
中枢神経の髄鞘⇒オリゴデンドログリア

 

治療
抗てんかん薬であるカルバマゼピン200-1200mg/dやオクスカルバゼピン300-1800mg/dが第一選択。RCTによる裏付けがないものの90%の患者がこの治療で痛みのコントロールがつく
カルバマゼピンの副作用にはめまい、複視、失調、肝酵素上昇があり23%の患者が副作用により投薬中止となる。
オクスカルバゼピンはカルバマゼピンと比較し副作用は少なく、薬剤相互作用も少ないが、容量依存性の低Na血症をしたす。

ガバペンチン、プレガバリンや抗うつ薬も神経痛に対して有効性が示されており、上記の第一選択薬でコントロールがつかない場合は併用を考慮する

 

手術
高いエビデンスレベルの研究はないものの、メタアナリシスでは術後1-2年での症状寛解率は61-88%と高い

有害事象は
手術による死亡率が0.3%
髄液廔が2%
髄膜炎が0.4%
脳幹梗塞や出血が0.6%
三叉神経の感覚障害が2.9%
片側性の聴覚障害が1.8%

上小脳動脈が橋に入る部分の三叉神経を圧迫している場合、間にスポンジを挟むことで緩衝させる