肥満に対する手術(胃切除)まとめ

肥満に対する胃の部分切除(スリーブ状胃切除)は日本でも2014年に保険適応になっています。

手術適応は

(1)BMIが35以上の高度肥満

(2)半年以上の内科的治療でも減量効果がない

(3)糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症のうち1つ以上を合併

 

 

肥満手術のリスクベネフィット

Benefits and Risks of Bariatric Surgery in Adults

A Review

JAMA. 2020;324(9):879-887.

doi:10.1001/jama.2020.12567

 

 

米国では2018年には25万2千人に肥満手術が実施された。

手術の方法は

スリーブ状胃切除、Roux-en-Y gastric bypass (RYGB)、バンド手術などがある。

 

禁忌は重症な心不全、不安定狭心症、末期肺疾患、活動性の悪性腫瘍、肝硬変・門脈圧亢進症、コントロールできていないアルコール依存、クローン病、1-2年以内の挙児希望者

 

 

手術の効果

DM

DMに関しては12のRCTがあり、多くの研究では肥満手術を行うことでDMは“薬物治療も不要”になった⇒肥満手術によりDMが治った。

手術によりHbA1cが1.8-3.5%改善(薬物治療は0.4-1.5%の改善)。

また手術によりDMにおけるMacro,Microvascularリスクが減少することもメタアナリシスで示されている。

手術法に関してはスリーブ手術とRYGBで有意差がないという報告もあるがRYBGの方がよいという報告もある。

DMの再発率はRYBGが33%、スリーブ手術が42%

 

脂質代謝異常症

肥満手術の適応となる患者の64%は脂質代謝異常症を併発している。

手術により脂質代謝異常症が改善する。

ベースからの改善の程度は5年経過みて(TG比較で)RYBG 40%, sleeve 29% , 薬物のみ 8%

 

高血圧症

肥満手術の適応となる患者の68%が高血圧症を併発。

肥満手術1年後の高血圧改善率は43-83%

改善率はRYBG>Sleeve

 

睡眠時無呼吸

肥満手術後にSASの評価の際に用いるApnea-Hypopnea index AHI(正常5-14.9)が改善。しかし多くの患者はOSASが続く。

27の研究(対象者1169人)では術前のAHIは39.3⇒術後はAHI 12.5まで改善

しかし改善しない患者もいる。

 

変形性関節症

長期的な効果は不明だが、体重減少により手術後6-12か月は膝の痛みが改善する。

 

尿失禁

肥満は物理的な要因や代謝性の要因で尿失禁のリスクファクターとなる。

肥満術前の評価では尿失禁は女性で49%、男性で22%にみられる。

術後1年後の評価では女性18.3%、男性9.8%と大きく改善する。

3年後では女性24.8%、男性12.2%

 

悪性腫瘍

肥満は閉経後乳癌、子宮内膜癌、大腸癌、肝癌、膵臓癌、卵巣癌のリスクとなる。

8つの観察研究(患者数635642人)ではどの悪性腫瘍のタイプも手術により減少した。

 

長期的な体重変化

ベースラインからの減少量はRYGB25.5%,Sleeve 18.8%

 

 

 

合併症

胃を切除している以上どうしても吸収不良によるビタミン欠乏などはでてしまう。胆石症や癒着性イレウスは共通、SleeveはGERD、RYGBはダンピング症候群が特徴的