ピログルタミン酸によるAG開大型アシドーシス アセトアミノフェン

Q 82歳女性がここ数日かけて意識レベルの低下あり、家族に連れられて受診。

基礎疾患に変形性関節症や高血圧症、アルツハイマー型認知症、虚血性心疾患がある。

数年前から食事摂取低下あり体重はどんどん減っている。

内服薬はドネペジル、メトプロロール、クロルサリドン、ロスバスタチン、アスピリン、アセトアミノフェン

バイタルサインは安定しているが意識レベルは低下しており見当識障害と傾眠がある。神経診察や一般診察は特記所見なし

血液検査では
Na 138mEq/L
K 4.8mEq/L
Cl 102mEq/L
HCO3  14mEq/L

Lactate  0.7mEq/L
pH  7.31
PaCO2  29mmHg

アニオンギャップは22と開大しているがこの原因は何か?


 

A:慢性的なアセトアミノフェン内服によるピログルタミン酸によるAG開大型アシドーシスAGMA

ピログルタミン酸アシドーシスは稀な病態である

グルタチオンレベルが低下している状態ではγグルタミルシクロトランスフェラーゼが増加しピログルタミン酸が蓄積する。

アセトアミノフェンは摂取すると5%はそのまま尿中に排泄される。
残りの大部分は肝臓でグルクロン酸抱合あるいは硫酸抱合され、無毒化されたのちに尿中に排泄される。一部は肝臓のシトクロムP450によってNAPQIに転換される。
NAPQIは毒性が高いが直ちにグルタチオン抱合を受けて無毒のメルカプツール酸になり尿中に排泄される。

アセトアミノフェンの大量内服や慢性的な内服ではグルタチオンが枯渇してしまう。
アセトアミノフェン中毒の治療薬であるNアセチルシステインはグルタチオンの前駆物質である。

この患者では慢性的なアセトアミノフェン内服によるグルタチオン枯渇⇒γグルタミルシクロトランスフェラーゼが増加⇒ピログルタミン酸が蓄積という流れでAGMAとなった。

ピログルタミン酸アシドーシスのリスクファクター
高齢者
敗血症(グルタチオンの減少)
肝機能障害/腎機能障害
低栄養
妊娠
フルクロキサリシン(5-オキソプロリナーゼの阻害)
ビガバトリン(抗てんかん薬)
先天性代謝障害(グルタチオン合成酵素欠損)

診断
尿中のピログルタミン酸測定

治療
敗血症などのグルタチオン減少をきたす疾患を治療する
アシデミアの治療(対症療法)
Nアセチルシステインの補充(グルタチオン貯蔵の改善)