ネフローゼの浮腫 低アルブミン血症そのものでは浮腫は起きない

The pathophysiology of edema formation in the
nephrotic syndrome

Kidney International (2012) 82, 635–642; doi:10.1038/ki.2012.180;

 

私が研修医の時はネフローゼ症候群で浮腫が起きるのは2種類の仮説があると習いました。アンダーフィル仮説とオーバーフィル仮説ですこの文献ではOver fillを支持していますね

‘underfill’ hypothesis
ネフローゼ症候群により尿蛋白排泄増加
膠質浸透圧低下(低アルブミン血症)による間質への水漏出

EABV低下によるRAS亢進、交感神経刺激
交感神経刺激によるADH分泌亢進、さらなるRAS亢進

Na , 水の貯留増加
‘overfill’ hypothesis
ネフローゼ症候群それ自体が水とNaの再吸収をおこす

 

結論

ネフローゼ症候群では
交感神経刺激→アンジオテンシンⅡによる輸入・輸出細動脈の収縮
尿細管がANPに対して反応しづらくなる
皮質集合管でのENaCチャネルの開放
集合管でのNa/K ATPaseの数の増加と活性化
によりNa,水の再吸収が促進され浮腫が起こる

低アルブミン血症単独では浮腫は起きないか、あってもごく軽度

アルブミンが1台になるとEABV低下による水,Na再吸収が促進され浮腫が起こる。

 

Plasmaのアルブミン減少により膠質浸透圧が低下すると、間質の膠質浸透圧も低下する。
oncotic pressure gradientが不変なので血漿膠質浸透圧低下は浮腫の原因になりにくい。


これはネフローゼ症候群の患者でも示されている。

また先天性の無アルブミン血症患者では43%が浮腫なし、38%が踵周囲の軽度の浮腫のみだった。

 

 

52人の微小変化型ネフローゼMCD(Alb 1.5g/dL)とその他のネフローゼ症候群(Alb 2.1g/dL)の患者を比較検討した研究では血液量、血漿レニン活性PRA、アルブミンに関連はみられなかった。

アルブミンが0.8g/dL程度になるとHypovolemiaのためノルエピネフリンやPRA、アルドステロンが上昇する

MCDにおいて高レニン、PRA高値の患者に対してカプトプリル負荷を行うとアルドステロンは低値となったが体液貯留は改善しない

→つまりRAS以外を介した水、Naの再吸収が起きている