ビタミンB12欠乏のまとめと鑑別

Investigating vitamin B12 deficiency
BMJ 2019;365:l1865
doi: 10.1136/bmj.l1865

 

ビタミンB12欠乏は大球性貧血患者において、60歳未満の6-12%にみられ、60歳以上の17%にみられる。

高齢者、妊婦、ヴィーガンはB12欠乏の疑いがかなり強くなる。

ビタミンB12欠乏症には(特に初期は)特異的な症状はなく、基準値範囲に関して明確なコンセンサスもない。

 

ビタミンB12欠乏の症状
全身症状…無気力、脱毛、体重減少、下痢
血液…貧血症状(皮膚蒼白、こぶしの色素沈着、息切れ)
神経…手足の感覚低下(振動覚低下)や痺れ、筋力低下、歩行障害、鬱、認知機能低下
貧血がなくても認知機能低下や感覚障害などの神経症状から徴候がでる患者もいる!

 

ビタミンB12欠乏のカットオフ値は<150pmol/L
CBCでは大球性貧血パターンとなり、ときに白血球減少、血小板減少、汎血球減少、過分葉好中球がみられる
MCVが正常範囲でも鉄欠乏性貧血により修飾されている可能性があるため臨床的な判断が必要

 

吸収不良や低栄養患者ではB12欠乏と葉酸欠乏は合併しやすい。

悪性貧血Pernicious anemiaはヨーロッパでは人口の4%にみられ年齢が上がるにつれ有病率が高くなる。
悪性貧血は胃の壁細胞抗体陽性の萎縮性胃炎にみられ、内因子産生が行われずB12吸収不良となる。。
B12は低値だがリスクファクターがない場合に悪性貧血の疑いをもつ。

リスクファクター
ベジタリアン
ヴィーガン
貧困
低栄養
食思不振症
アルコール多飲
高齢者
妊婦
薬剤(H2ブロッカー、PPI、メトホルミン、経口避妊薬)
悪性貧血
年齢に伴う萎縮性胃炎・ピロリ菌感染
吸収不良(回腸末端で吸収されるため周辺の腸疾患、膵臓疾患、回腸切除・胃切後、クローン病、小腸のBacterial overgrowth)

 

抗内因子抗体
悪性貧血に対する感度50-60% , 特異度95-100%
感度低めなところに注意。

 

Holotranscobalamin
VitB12の機能的な形態であり、この形で組織に取り込まれる
B12ではなくHolotranscobalaminを測定するメリットはB12結合タンパクのハプトコリンHaptocorrinに左右されないことである。妊娠、経口避妊薬の使用、HIV感染症ではハプトコリンが増加しB12低値となる。

メチルマロン酸
日本では測定できない!B12の値がボーダーラインの時に使う。
メチルマロン酸は腎不全、脱水、小腸Bacterial overgrowthで高値となりやすい。

ホモシステインHomocysteine
葉酸欠乏、VitB6欠乏、甲状腺機能低下症、腎不全などでも高値となるためメチルマロン酸と比較しVitB12欠乏の特異度に欠ける。
室温の影響を受けるため、採血したら氷の上で保存し2時間以内に検査に提出すべし。

 

検査結果の解釈
VitB12<150pmol/Lなら治療を。
これより高値でも実際には組織で低値なこともあるのでホモシステインなどの提出を考慮する。

治療
B12(Hydroxycobalamin)筋注・皮下注
1mg を週3回、計2週間
その後3か月に1回
神経所見があれば経過により調整。治療期間は患者の基礎疾患やB12欠乏の原因によりけり。
CBCのフォローは治療開始7-10日目と8週間経過時におこなう。
B12のモニタリングは通常不要、治療開始し8週経過しても貧血や神経所見の改善がない場合に測定を考慮する。

経口B12(Cyanocobalamin)
50-150mcg/dの投与を行う。ただし吸収不良がなく、B12筋注・皮下注で治療した後のMaintenance treatmentである


Interpretation of Vitamin B12 Status After a Roux-en-Y Gastric Bypass
JAMA . 2019 Jul 26. doi: 10.1001/jama.2017.18945.

 

200pg/mLをカットオフにすると感度95%,特異度50%
200-400pg/mLでも5-10%の患者はB12欠乏による神経症状をもつ

Methylmalonic acid(MMA)はB12によりSuccinyl-coenzyme Aに変換されるためB12欠乏があると高値になる
MMAが0.75μmol/L以上だとB12欠乏

HomocysteineはB12欠乏診断のセカンドライン。MMAよりも特異度が低い
HomocysteineはL-methylfolateからmetionine via Methylationに変換されるためB12と葉酸欠乏ではHomocysteineは高値となる。

神経症状で最も多いのはParaesthesiaでありその他に大球性貧血や過分葉好中球などがB12欠乏ではみられる

R-Yバイパス後の患者では20%でB12欠乏あり

内因子の活動性を別にして、B12は摂取量の1%が小腸で吸収される。

1日必要量である2.4μg/dを最低限満たす必要があるため、B12欠乏の患者では700-2000μg/dの摂取が必要。B12欠乏は治療開始から週の単位で改善していく。

 


悪性貧血

BMJ 2020;369:m1319

悪性貧血の徴候

貧血+α

倦怠感

記憶障害

集中力の欠如

異常感覚Paresthesia

 

1/3の患者はVitB12の値は正常範囲で正球性

悪性貧血が疑われたらホモシステインの測定を

10万人に200人くらいの有病率だが70歳代ではCommon

20%の患者で鉄欠乏性貧血を合併している、そのため正球性となる患者もままいる