臓器の動脈瘤の鑑別

実際に経験した症例から学んだことの共有です

50代 女性 ショック

他院から腹腔内出血によるショックで転院搬送
どうやら肝臓が出血源のよう
搬送前は血管腫や腫瘍の破裂と予想していたが肝臓内に動脈瘤が複数あり、動脈瘤破裂による出血だった

緊急IVRでコイル塞栓を行い一命を取りとめた


Visceral artery aneurysms (VAAs)は大血管ではない,各臓器に栄養する動脈に起こる動脈
剖検では0.01-0.2%にみられる

線維筋性異形成による腎動脈瘤の頻度が高い

腎動脈以外だと脾動脈・肝動脈・胃動脈の頻度が高い
Eur J Vasc Endovasc Surg 2007;33:293-301.

珍しい疾患であるが
22%の患者は緊急状態で発見され
8.5%は死亡する
Int Angiol. 2019 Oct;38(5):381-394.

 

VAAの原因は

動脈硬化 6割程度
線維筋性異形成
血管炎(特にPAN)
結合組織病(マルファン、エーラスダンロス)
遺伝性出血性毛細血管拡張症
α1アンチトリプシン欠乏症
感染性・炎症性変化
妊娠 妊娠に伴う循環血液量増加やホルモン変化により起こる
膵炎
外傷
脾腫を伴う門脈圧亢進症
クッシング症候群
SLE
その他ではSAMやMALSなど

 


線維筋性異形成 fibromuscular dysplasia FMD

臨床的に顕在化しているFMDは有病率0.4%程度

腎移植のドナー候補にスクリーニングで血管造影を行った研究では3-6%にFMDがみられたとされる

国家試験的知識だと“腎動脈におきるFMDによる腎性高血圧”だが病変が複数ある例の方が多い

動脈瘤は20%程度の患者で合併

動脈解離や脳卒中の合併も多いため
“あらゆる血管病の背景にFMDあり“
と考えるのがよさげ
Vasc Med. 2019 Apr;24(2):164-189.