α1-アンチトリプシン欠乏症

N Engl J Med 2020;382:1443-55.
DOI: 10.1056/NEJMra1910234

α1-アンチトリプシン欠乏 Alpha1-antitrypsin (AAT) deficiency AATD

遺伝病であり若年発症のCOPDが表現型

AATはほとんどが肝臓で合成され、肺の防御機能に関わる。
AATは抗プロテアーゼ/抗炎症物質であり好中球機能を制御している。
AAT欠乏になると好中球エラスターゼが過剰に放出され肺での粘液分泌増加やプロテアーゼ/炎症性サイトカインの発現も増加する。
好中球機能の制御ができず肺組織への過剰な炎症反応により組織障害⇒肺気腫となる。

 

様々なGenotypeがあるが
PI ZZタイプは生後12か月以内ではALT上昇が73%の患者でみられるが、12歳時には15%がALT上昇となるため見つかりにくい
Bil値は生後数か月は11%で上昇みられるが6か月を過ぎると正常化する
PI ZZタイプの新生児の10%に黄疸がみられ、15%の患者は若年性肝硬変をきたす

成人のPI ZZ ATTD患者では生検で35%に肝線維化がみられ
リスクファクターは男性、メタボ、肥満。アルコールの関連は不明。

 

AATDの診断は困難で、症状出現から5-7年での診断率は10%程度。
若年発症のCOPDで喫煙者に多く見られ下肺が侵されやすい
SevereなATTD患者の37%では上葉にも病変がみられる。

診断年齢の平均は46歳。早期診断は難しいが生活習慣やリスクファクターを改善させることができるので疾患概念を知っておく必要がある

AAVを合併するタイプのバリアントあり。

AATDの鑑別となる疾患
下記の疾患の患者ではAlpha1-antitrypsin (AAT) deficiency AATDの可能性を考慮する
COPD
肝疾患
治療反応の乏しい喘息
c-ANCA陽性の血管炎
脂肪織炎
気管支拡張症

 

診断ステップ
まず血清ATTを測定。合わせてCRPを測定し感染や炎症のあるときに増加していないというのが重要。
CRP正常の際にATT 1.1g/L異常であれば正常と判断できる
1.1g/L未満の時はPhenotypeやGenotypeを専門施設に調べてもらう必要がある

 

 

ATTDの治療には禁煙が最も大事。
AAT製剤補充により肺密度を保つことができたがFEV1やQOL、COPD増悪などには効果がなかった。
変異AATが肝に蓄積することで肝機能低下をきたすためBMIを正常に保ったり脂肪やアルコールの摂取を控えるべき。肝臓に関しては良い治療は今のところなく末期になれば肝移植が考慮される