低血糖の鑑別

臨床的には薬剤性と敗血症が多い気がします。
”なんか意識が悪いなぁ”、”神経脱落徴候がある”というなんかおかしいと思う際は血糖値を測定しましょう。
国家試験で出るような”振戦、発汗、意識障害”の低血糖患者もいますが、臨床的には非典型例も非常に多いです。
自験例ですと昏睡、片麻痺、四肢麻痺、呂律障害など様々な低血糖患者をみました。
低血糖はすぐに改善させることができる病態です。なにか神経脱落徴候があればまず血糖値のチェックを忘れないようにしましょう。ビタミンB1の投与も忘れずに。

N Engl J Med 2018;379:376-85.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1802828

 

36歳男性  意識障害 低血糖
診断:インスリノーマ

特に基礎疾患を指摘されていない36歳男性
時折急性発症の意識障害が出現していた
来院の1日前に意識障害や手の痙攣、意味の分からない発語が出現、食事を食べさせると改善した
受診日の朝、冷や汗をかき意識障害が再び出現したためEDに連れてこられた
眼振やAsterixisあり、血糖測定すると38㎎/dLと低値だった
グルコース投与で症状は改善した

鑑別
この患者はWhipple’s triadがあった
・低血糖(50mg/dL)
・低血糖症状あり
・糖補充で症状改善する

低血糖から鑑別を行った

低血糖を起こしうる病態としては
敗血症
末期肝不全(糖新生の減少)
腎不全(インスリン排泄低下による作用過剰)
神経性食思不振症
インスリン過剰
アルコール

食事摂取量が極端に低いと低血糖は起こるか?
そんなことはない⇒GluのSupplyが少ないとインスリンやプロインスリンは抑制される

アルコール飲酒による低血糖は比較的Common
アルコール代謝時は糖新生が減少するため低血糖になりうる

 

高インスリン血症
Hyperinsulinemic hypoglycemiaは自己免疫疾患、SU薬などの薬剤、胃腸手術後、インスリン産生腫瘍でおきる

自己免疫疾患としては抗インスリン受容体抗体、または抗インスリン抗体によりおきる 家族歴が重要

薬剤性は頻度が多い服薬管理がきちんとできているのか評価が必要

Roux-en-Y手術後の患者のうち1%程度が5年以内に重度の低血糖になる
メカニズムとしてはインスリン分泌の変化やインクレチン過剰、急激に体重が落ちることでインスリン抑制がきかないなどが主な原因とされている

 

インスリノーマ
稀。空腹時に低血糖症状がでるものが90%だが、食後低血糖がおきる患者は10%いる
インスリノーマの診断には C-peptide, insulin, and β-hydroxybutyrateが必要。画像もとりましょう。
画像上局在がはっきりしない場合は 膵島細胞症nesidioblastosisを考えましょう(膵島β細胞のびまん性増殖)⇒小児の高インスリン性低血糖で最も頻度が高い