心膜炎の鑑別

N Engl J Med 2019;380:2157-67.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1900419

 

44歳男性 関節痛 体重減少 胸痛
診断:SLE

受診の10か月前から肩の関節痛が出現
2か月経過してリウマチ内科受診。MRI所見は特に異常なしでステロイド局注された。
その4か月後、手指や膝にも関節痛が出現した。線維筋痛症と診断されナプロキセン処方と都度ステロイド注射が行われた。

その2か月後、食思不振、嚥下困難、心窩部痛が出現。
2週経過して時折前胸部の胸膜痛が出現するようになった。痛みは鋭く、臥位になると増悪した。
間欠的な呼吸困難や乾性咳嗽も出現するようになった。
倦怠感や主観的な発熱と呼吸困難の頻度が増悪するようになった。

受診の前日に患者の妹が患者がSickであったためERにつれてきた。
WBC低下、貧血あり
Xpでは心拡大と両側胸水、肺水腫あり
造影CTでは少量の腹水と腹膜に造影効果あり、心嚢水もあり
腋窩リンパ節腫大もあった

MGHに転院
ROSでは倦怠感、両側関節痛、間欠的呼吸困難、乾性咳嗽、食思不振、嚥下困難、体重減少(前年から-18kg)、多尿、前腕部の掻痒を伴う発疹

既往歴にマラリアとうつあり。
薬剤はブプロピオンとナプロキセンを頓服している

渡航歴に特記事項なし
彼は離婚しており7か月前に性行為あり
妹と2人の子供と同居

心嚢液はフィブリンが多く、滲出性、好中球優位

 

鑑別
非特異的な症状が多いがHigh yieldなものもある。
心嚢水貯留がKey

心嚢水と心膜炎の鑑別診断は地域により異なる

アメリカでは心膜炎の原因は80%が原因不明
5-10%が悪性腫瘍
2-7%が自己免疫疾患やpericardial-injury syndromes
4%が結核
1%未満が化膿性細菌感染症

発展途上国では70%が結核

タンポナーデは感染症と悪性腫瘍による心嚢液貯留でみられやすい

 

感染症
結核

悪性腫瘍
リンパ節腫脹やアスベスト曝露歴あり

リウマチ性疾患
SLE,RA,AOSDでは関節症状・心膜炎・発熱・貧血・リンパ節腫脹はおこりうる
SLE患者では症候性の心臓徴候として心膜炎が25%の患者でみられ、無症候性の患者も多い。ただしSLEでタンポナーデになるのは1-2.5%と稀である。
タンポナーデになりやすいのは溶血性貧血・腎臓病・低補体血症・女性などが関連している。

 

この患者でANA測定すると5120倍と著明高値でSLEのCriteriaを満たした。
ANAはRA,SSc,Sjogrenなどでも高値となりやすい。
この患者ではSLEに特異的なds-DNA抗体も陽性だったためSLEと考えられた。