肝障害の鑑別 薬剤性肝障害

薬剤性肝障害のレビュー
N Engl J Med 2019;381:264-73.
DOI: 10.1056/NEJMra1816149

 

薬剤性の肝障害は診断とマネジメントが難しい。
10万人あたり14-19人程度でみられ、黄疸を伴うのは30%程度である。
黄疸を主訴に医療機関を受診する患者の3-5%が薬剤性の肝障害が原因である。

薬剤性肝障害の診断は除外診断となる。

薬剤性肝障害の起こるPhaseは
薬剤開始後Latency
薬剤中止後Dechallenge
再投与後Rechallenge

どんな薬剤で肝障害がおきやすいかを知っておく必要がある。

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薬剤性肝障害は直接的肝毒性と特異的肝毒性、間接的肝障害の3つに分けられる。
直接的肝毒性はLatency periodが1-5日で治療に用いるDoseが多いほど起こりやすい。

特異的Idiosyncratic肝毒性は、直接的な肝毒性はないが1/2000-1/100000の確率でおこり予測不可能で、非用量依存性で、動物モデルでは再現されない。

 

肝障害のパターンは
R value=(ALT/ALT基準値)/(ALP/ALP基準値)
でおおよそ分類できる
肝細胞性 R≧5
胆汁鬱滞性 R≦2
混合性 2-5
のパターンに分かれる。

間接的肝障害は基礎疾患に自己免疫性肝炎、B,C肝炎、脂肪肝の増悪などの形でおこる。

肝障害のPhenotype
・急性肝壊死
直接性 日の単位 著明なALT,ALP,Bil上昇

・肝酵素上昇
直接性 日~月の単位 軽度のALT,ALP上昇

・急性肝炎
特異性or間接性 日~月の単位 重度のALT上昇、中等度のALP上昇

・胆汁鬱滞性肝炎
特異性 週~月の単位 重度のALP上昇、軽度のALT上昇

・混合性肝炎
特異性 週~月の単位 中等度のALT,ALP上昇

・慢性肝炎
月~年の単位 中等度のALT上昇、Bil上昇

・無症候性胆汁鬱滞
特異性? 月の単位 中等度のALT上昇、軽度のALP上昇

・急性の脂肪肝、乳酸アシドーシス、肝不全
直接性 日~月の単位 乳酸アシドーシス、軽度のALT上昇、肝不全

・NAFLD
直接・間接性 月の単位 軽度のALT,ALP上昇

・類洞閉塞症候群
直接性 週の単位 肝酵素異常は色々なパターン

・結節性再生成過形成
直接性 年の単位 ごく軽度のALT,ALP上昇