慢性アルコール多飲による電解質異常

N Engl J Med 2017;377:1368-77.
DOI: 10.1056/NEJMra1704724

 

アルコール多飲者のうち酸塩基平衡異常は78%に存在すると言われており、うち25%はアルコールケトアシドーシスをもつ

代謝性アシドーシスがあっても嘔吐や尿排泄による代謝性アルカローシスによりpH正常範囲内であることもある

アルコール性ケトアシドーシスのmanagement
病態としてはdehydration+energy deficit+vitamin deficitなので
0.9% saline +5%dextrose
dextrose 7.0-7.5g/hr
Thiamine(dextroseより先にIV
インスリン分泌能は保たれているのでインスリンは不要

 

Phosphorus disturbances
hypophosphatemia
尿細管障害により尿からのP流出↑ 入院レベルのアルコール多飲者は50%がP欠乏あり
(細胞膜のリン脂質の構造変化により尿細管障害が起きる 尿糖、アミノ酸尿、Mg尿、Ca尿などが出現する)
vitD欠乏⇒HypoCa⇒PTH増加⇒P再吸収抑制
Mg低下⇒P再吸収抑制
Mg低下⇒PTH機能低下⇒腎でのPTH抵抗性増加⇒血中P増加⇒P尿排泄促進
pH正常化⇒Pの細胞内シフト
グルコースの細胞内シフト⇒同時にPシフトが起きる(refeeding syndromeと同様)
脱水などによるカテコラミン刺激⇒Pの細胞内シフト

症状は脱力や横紋筋融解症、alcoholic myopathy
PはATP、2,3-DPGの材料でありP欠乏により
解糖系↑⇒乳酸産生により代謝性アシドーシスの増悪
RBCにおいては2,3-DPGの減少⇒Hbの酸素親和性低下⇒組織低酸素

 

Magnesium and Calcium disturbance
野菜や肉の摂取不足・下痢による吸収不良⇒Mg減少
Mgが減少⇒近位尿細管でのP再吸収抑制   P減少⇒Mg再吸収抑制も同様に起きる
カテコラミン刺激⇒Mgの細胞内シフト
グルコース吸収⇒一緒にMgも細胞内シフト
呼吸性アルカローシス⇒細胞内シフト
低Mg血症は筋・神経のirrirability(脱力や震えトルソー徴候)が起きる
Mg低下⇒PTH放出抑制+PTH抵抗性⇒HypoCa
hypoCaを見たらvitD欠乏も疑うべき
vitDは食物摂取や太陽光による皮膚でのvitD産生で賄われている
アルコールによる直接的なvitD代謝障害、脂肪便によるvitD吸収不良(脂溶性vitaminはDAKE)

Potassium disturbance
嘔吐・下痢により消化管からの消失
ケトアシドーシスや嘔吐によるミネラルコルチコイド↑⇒Na再吸収↑,K排泄↑
Mgは遠位尿細管のROMKchannelに対して尿へのK排泄を押さえている  Mg低下によりK排泄亢進
インスリン・カテコラミン・アルカローシスによる細胞内シフト

hypoKの症状
心臓中毒性、筋骨格系毒性(静止膜電位を保てない) 急性の筋障害による筋力低下

 

treatment of patients with multiple electrolyte
10% dextrose 500ml
0.9% saline 500ml
K 20mEq
Mg 8mmol
P 20mmol
上記混ぜてIV

Dysnatremias
アルコールによりバソプレシンが抑制される⇒尿中への自由水の喪失⇒HyperNa,dehydration
アルコールが切れるとバソプレシンが抑制されていた分過剰に⇒HypoNa
Na異常の治療については成書参照

また飲酒によりVitB1の尿中排泄が増加するため食事摂取をしていてもB1欠乏になりうる