喀血の鑑別

参考
N Engl J Med 2018;378:853-8.
DOI: 10.1056/NEJMcps1711048

 

83歳女性 喀血
過去に抗GBM抗体陽性を指摘されていて慢性心不全を基礎疾患に持つ83歳女性
5日前からの呼吸困難と血痰がつづくため来院

喀血の原因は様々あるが、世界的には肺結核によるものが最も多い その他に喀血をきたすのは気管支炎気管支拡張症肺悪性腫瘍壊死性肺炎(肺膿瘍)などである

この患者では抗GBM陽性の病歴からanti-GBM disease(Goodpasure’s syndrome)は鑑別に挙がった また、肺静脈性肺高血圧症も喀血の原因となりうる

抗GBM抗体陽性患者では壊死性肺炎のリスクが高い
壊死性肺炎ではPolymicrobialでは嫌気性菌がPathogenになることが多い MonomicrobialだとSAやクレブシエラ、レジオネラが原因となる

anti-GBM diseaseでは肺病変単独は10%、腎病変単独は20-40%、肺・腎病変両方が60-80%である
JVP上昇あり、腋窩に放散する収縮期逆流性雑音あり、NT-proBNP上昇あり、Volume overload +MRの所見だった

 

肺炎・心不全の影は健康成人で6週間、高齢者で12週間残るため、肺炎の既往があると胸部画像検査の解釈は難しい この患者は8週間前に心不全の増悪で肺水腫をきたし入院となっていた

肺炎としてPIPC/TAZで治療開始 尿検査では蛋白や血尿なし肺炎球菌やレジオネラは陰性だった

入院から12時間経過し大量の喀血があり、呼吸不全が進行した
気管支鏡検査を行い、出血源を探しにいったが明らかではなかった⇒肺胞からの出血の疑い
生食で洗浄し、回収した液を培養検査などに提出した
抗核抗体、ANCA、抗GBM抗体などはどれも陰性だった

左下葉から回収した液の培養でレジオネラが検出された

 

診断:レジオネラ肺炎
レジオネラは通常水系に生息するグラム陰性桿菌である
潜伏期間は2-14日
他の肺炎に比較し、高率に低Na血症やリンパ球減少を合併する
G染色ではわかりづらいため、尿中抗原検査が診断のGoldstandardであるがserogroup 1しか検出できないため特異度は99%だが感度は74%程度である
この患者ではserogroup 12だった
治療はAzithromycinやLevofloxacinがFirst line  Second lineにDoxycycline
治療期間は10日間、患者が易感染宿主ならば21日間