アルコール中毒

N Engl J Med 2018;378:270-80.
DOI: 10.1056/NEJMra1615295

 

アルコール中毒のReview

アルコールは数種類あり
代謝されることで種々の毒性が出現する⇒中毒を起こさせないために代謝させないための戦略的治療が必要

 

エチレングリコール(不凍液)
Oxalate crystalに肺・心臓・腎臓で変換され臓器障害をきたす
脳神経障害もおこしうる
まず神経障害が12時間程度で出現し、その後心臓や肺障害が12-24時間で出現、48-72時間で腎障害が出現する
エタノール摂取で症状出現がおくれる

 

メタノール(有機溶剤)
30-70%の症例で視覚障害をきたし、肺障害や腹痛、昏睡パーキンソン様症状が出現すうる
症状は摂取後6-24時間で出現するがエタノールを同時に摂取している場合は72-96時間後に出現する

 

イソプロパノール(消毒液)
肺障害をきたし、心血管障害、急性膵炎、低血圧、乳酸アシドーシスがおきる
イソプロパノールの血中濃度が500㎎/dL以上だと臨床的に問題となり、1500㎎/dL以上は深昏睡となる

 

ジエチレングリコール
腹痛、嘔気・嘔吐、下痢、急性膵炎、意識変容、肝障害、中枢・末梢神経障害、AKIがおきる
AKIは曝露後8-24時間でおき、死因の第一要因となる
中枢神経障害は5日程度経過してから出現する
エタノール摂取は48-72時間症状出現を遅らせる

 

プロピレングリコール
多くは浸透圧ギャップ形成のみ
基礎疾患に肝疾患、腎疾患があると時に乳酸アシドーシスやAKIをきたす
ロラゼパムを高容量投与されている場合は高リスクである

治療
エタノールはアルコールデヒドロゲナーゼとの親和性が高く投与により上記アルコール群の代謝が緩やかになるため治療の第一選択として用いられる

Fomepizole
アルコールデヒドロゲナーゼを強力に阻害する(アルコールデヒドロゲナーゼに対しエタノールの8000倍の親和性をもつ)
Loading dose 15mg/kg maintenance dose 10mg/kg q12h
48時間経過後はmaintenance doseを15mg/kg q12hに増量する

中毒アルコールは親水性がありHDで除去できる
Fomepizoleはあくまで中毒アルコールの半減期を長くするだけなのでその間にHDを行う

ジエチレングリコール⇒Fomepizole+HD
イソプロパノール⇒経過観察 or 重症ならHD
プロピレングリコール⇒乳酸アシドーシスあればHD