頭痛の鑑別 PRES 可塑性白質脳症

参考
N Engl J Med 2018;378:1336-42.
DOI: 10.1056/NEJMcps1714950

 

65歳男性 3か月続く倦怠感と、体位で変わらず朝方に増悪し、NSAIDs使用で少し改善する頭痛でER受診
健忘や混乱あり

週の単位で進行する頭痛や認知機能障害は亜急性の脳症が示唆される
急性経過の脳症は虚血性脳卒中やSAH
亜急性経過の脳症は静脈洞血栓症、慢性硬膜下血腫、高血圧性脳症、水頭症、頭蓋内腫瘍が鑑別に挙がる

この患者はBP197/100mmHgと高血圧であり、BUN 57mg/dL,CRN 3.92mg/dLと腎機能障害もあった
頭部CTを撮影するとPRES(Posterior reversible encephalopathy syndrome:可塑性白質脳症)の所見だったが脳腫瘍も否定できなかった

可塑性白質脳症は悪性高血圧症に合併することで知られている 悪性高血圧の場合眼底所見に火炎状出血やうっ血乳頭が出現することがある

LPで髄液たんぱく質200㎎/dLで脳症、特にPRESの所見だった
腹部エコーでは著明な水腎症と緊満な膀胱あり、導尿すると2900mlもの排尿があった
尿閉は二次性の高血圧症とPRESの原因となりうる また、当然腎後性腎不全の原因となりうる
この患者では尿閉を解除してやると徐々に血圧も下がりPRESの所見も改善した

PRESは意識の変容、後頭葉に主に出現し、原疾患の治療により改善する脳症である
PRESの病態はまだわかっていないが脳のオートレギュレーションと血管内皮の機能低下dysfunctionにより、BBBが破綻し液やタンパク成分が漏出し点状出血が起こるとされている。脳血管の自動調節能を振り切るような急速な高血圧症で起こるとされている。後頭葉に起こりやすいのは、後部の血管が血行動態ストレス対する適応力が低いために起こると考えられている

またSepsisや子癇でもPRESは起こるがこれは炎症性因子による血管内皮障害がメインの病態である
薬剤性ではタクロリムス、シクロスポリン、ベバシズマブはPRESのリスクファクターである
PRESの症状は多岐に渡る。脳症は50-80%に起こる。進行した例では不穏や昏睡が起こる
1/3に眼症状(霧視や盲目)が出現する 5-15%に全般性けいれんが起こる
頭痛は50%に報告されている
腱反射はほぼ亢進しBabinski signが陽性になることもある
診断にはCTやMRIを用いる
RCTを行えるほどのDataがなく症例報告や経験からマネージメントを学ぶのが現状である
PRESは3-6%が致死的になりうる 20%が神経学的異常が残存する