浮腫の鑑別

浮腫の鑑別では病態を考えるのが大事

静水圧上昇
血管透過性亢進
血漿膠質浸透圧低下

の3つが浮腫の成因です。

静水圧上昇は頸静脈所見から推定しましょう。片側性の浮腫や頸静脈圧に反映されない浮腫では局所の静脈・リンパ管閉塞が示唆されるためDVTや骨盤内の解剖の評価が必要です。

血管透過性亢進は血液検査で炎症反応の数値でみることもできますが反映されない疾患も多々あります(クラークソン症候群など)

 

参考
N Engl J Med 2018;378:2124-32.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1712228

 

40歳女性 下腿浮腫と腹痛
診断:膜性腎症

甲状腺機能低下症とLTBIを基礎疾患にもつ患者
急速に進行する下腿浮腫と意図しない体重増加(10か月で10kg)と腹痛主訴に受診

VTE所見あり
ネフローゼ症候群は血液検査からほぼ間違いないが抗凝固薬使用中に腎生検できないよね?どうやって診断つけるかというケースレコードです。

 

 

Minimal change disease
小児で多いが成人でも一次性、または二次性(多くが薬剤でβラクタム・ビスフォス・スルファ)で発症することがある

 

FSGS
米国のネフローゼの30%をFSGSが占める。二次性の原因はHIV感染症、肥満、逆流性腎症(VURなど)
高血圧や血尿、急速に低下するGFRが特徴である

 

膜性腎症
この患者で最も疑わしい 膜性腎症では抗PLA2R抗体が陽性になる
膜性腎症のうち25%は薬剤性やHBV感染症、HCV感染症、梅毒、甲状腺炎、悪性腫瘍が原因である

 

 

ネフローゼと血栓症の関係
ネフローゼでは血栓症を合併しやすい

アルブミンが低値となることで血液が濃縮気味になる
尿中にATⅢなどの抗血栓因子が排泄されるなどが原因とされている

 

この患者は血液検査で抗PLA2R抗体陽性となり膜性腎症とそれにともなう血栓症の診断となった
膜性腎症のうち3分の1は特に治療することなく寛解する
別の3分の1はネフローゼ症候群は残るが腎機能は低下せず
残り3分の1は腎機能障害が進行する
上記3つのグループのどこに患者が属するか判断する

 

膜性腎症においてStrong consensusが得られているのはスタチンなどの脂質異常症治療である(ベースにHyperlipidemiaがある場合)
ACE-IやARBも同様にStrong recommendation
この患者では6週間でPSLをテーパーつつシクロフォスファミド併用、8週間後にシクロフォスファミドをアザチオプリンに変更し5か月と7か月目で抗PLA2R抗体のフォローを行ったが再燃なしだった