好酸球増多症の鑑別

参考
Prim Care. 2016 December ; 43(4): 607–617. doi:10.1016/j.pop.2016.07.010.」

 

好酸球増多症Eosinophilia

好酸球増多症は組織や血液中の好酸球数増加を示す病態である。
組織の場合は生検が必要だが、血液検査であればすぐに診断できる。
血液検査正常でも好酸球が関わる疾患(好酸球性食道炎など)は否定できない。

 

絶対数で500/mcL,分画なら5%以上の上昇が好酸球増多症とされる

好酸球の末梢血中の半減期は8-18時間であり、組織にいる場合は少なくとも数週間残っている。

Allergic sensitization

アレルギー疾患においてMild eosinophilia(500-1500/mcL)はよくみられる。
アレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎などが代表疾患
そのほかには
好酸球性食道炎
慢性副鼻腔炎、特にaspirin-exacerbated respiratory disease(AERD)
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
慢性好酸球性肺炎(80%以上の患者でBAL中に40%以上の好酸球あり)
好酸球性血管炎(EGPA)
薬剤 抗菌薬(ペニシリン、セファロスポリン、キノロンは無症候性の好酸球増多をきたすことがある)、NSAIDs、スルファ、ニトロフルイトラン

 

drug rash with eosinophilia and systemic symptoms(DRESS)
肝酵素上昇、体温調節不全、リンパ節腫脹、紅斑が主な症状
原因は抗菌薬・抗てんかん薬・痛風薬・抗ウイルス薬・NSAIDsなど特定の薬剤で起こりやすい
SJSやTENでは好酸球増多は通常伴わない

 

寄生虫感染症に伴う好酸球増多

蠕虫helminth感染症は好酸球増多を伴いやすい。臨床的に頻度が多いのは糞線虫
ジアルジア(ランブル鞭毛虫など)は好酸球増多を起こさない
海外渡航歴のある患者の好酸球増多症は常に寄生虫の可能性を考慮する
糞線虫strongyloides
旋毛虫trichinella
回虫ascaris
鈎虫hookworm
幼虫移行症larva migrans
糞線虫は感染後も好酸球増多が10年以上残ることがあり、蠕虫感染症の可能性があれば必ず調べておく。
糞線虫症は無症状のこともあれば蕁麻疹や皮膚描記症、血管浮腫、腹痛をきたす。

未診断の糞線虫症をもつ患者がコルチコステロイドの投与を受けると播種性糞線虫症をきたす。播種性糞線虫症は腸内細菌による敗血症をきたし致死的となりうる。
血清抗体検査が最も感度が高く、便中の虫体検査は感度が低い。

原虫では以下の3種で好酸球増多がみられる
Isospora belli
Dientamoeba fragilis
Sarcocystitis

 

真菌感染症

コクシジオイデス症coccidioidomycosis
播種性ヒストプラズマ症disseminated histoplasmosis⇒好酸球増多をきたす頻度は少なめ
クリプトコッカス症cryptococcosis⇒特に中枢神経感染症で好酸球増多

ウイルス感染症

HTLV-1
HIV-1感染症でも好酸球増多がみられるが通常は薬剤や好酸球性毛包炎などの2次的な影響

 

自己免疫性疾患

EGPA 
症例報告レベルだがRAなど他の自己免疫性疾患でも好酸球増多がみられることがある
炎症性腸疾患IBD
サルコイドーシス
IgG4関連疾患

悪性腫瘍

好酸球性白血病
リンパ腫(Tリンパ、ホジキン)
CML
腺癌
肺がん
扁平上皮癌(子宮頸がん、亀頭、皮膚、膀胱など)
甲状腺癌

 

先天性疾患
常染色体優性遺伝による抗IgE症候群(Job syndrome)
Wiskott-Aldrich syndrome
Omenn syndrome

 

その他
臓器移植後の拒絶反応
慢性GVHD
木村病(軟部好酸球肉芽腫症)
類上皮血管腫Epithelioid hemangioma
L-tryptophan服用によるeosinophilia–myalgia syndrome
好酸球はステロイド産生で減少するため副腎不全でも好酸球増多をきたすことがある
漿膜刺激(腹膜透析など)
コレステロール塞栓症

1次性好酸球増多
Hypereosinophilic syndrome

 

 

好酸球増多は上記鑑別疾患を病歴や身体所見から丁寧にRule in , Rule outしていけばほぼ診断可能と思います

参考にNEJMの好酸球増多に関わるCase recordを置いておきます

好酸球増多症+伝染性単核球症様症状 N Engl J Med 2018;379:775-85.

好酸球増多症+慢性の腹痛 N Engl J Med 2018;379:1263-72.

好酸球増多症+咳嗽 N Engl J Med 2019;380:2052-9.