COPD患者への高濃度酸素投与で高CO2血症を増悪させる理由②

前回はCOPD患者(慢性の高CO2血症の患者)への酸素投与で一時的に呼吸抑制がおき分時換気量が低下するが次第に換気量は改善してくる。
しかし高CO2血症は増悪していくというところで終わりました。

肺には換気のよい肺胞に血液を多く送るために、酸素分圧の低い肺胞の血管が収縮するという機能が備わっており
低酸素性肺血管収縮 Hypoxic pulmonary vasoconstriction
と呼ばれます

 

重症肺疾患患者では高濃度酸素投与により
肺胞の酸素分圧上昇がおき、換気がよい肺胞の血流が増加し、換気の悪い肺胞の血流が減少するため死腔換気が増加します

Aubierらの研究ではCOPD増悪患者において高FiO2により死腔換気が77%⇒82%に増加したことを報告しています

Am Rev Respir Dis 1980, 122:747-754.

 

その他にホールデン効果と呼ばれるものがあります。
ヘモグロビンはCO2と結合するが、PO2が高いほどHb-CO2の親和性が低下する。理論的には高FiO2によりHb-CO2のCO2が離れることでPCO2が増加すると考えられます。

 

 

治療に関しては

COPD急性増悪に対する高濃度酸素投与は死亡率を増加させる

ことが多くの文献で指摘されており

COPD増悪患者においてSpO2を88-92%に保つ方が、それ以上に保たれた群と比較し呼吸性アシドーシスや死亡率が低く

英国胸部学会のCOPD患者の酸素療法のガイドラインでもSpO2を高めにしないことを推奨しています

 

 

再度まとめです

高濃度酸素投与による分時換気量低下

高濃度酸素投与による低換気肺胞の肺血管収縮⇒死腔増加

PaO2上昇によるHb-CO2親和性低下(ホールデン効果)

が重症肺疾患患者の高CO2血症を増悪させると考えられる。

治療においてはSpO2を指標に88-92%を維持するように酸素投与を行う