腹痛 炎症性腸疾患の鑑別

炎症性腸疾患が鑑別に挙がったらセットで他の疾患も想起できるようになりましょう

参考
N Engl J Med 2019;380:2461-70.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1900594

 

38歳女性 数年間続く腹痛と下痢あり受診

消化管内視鏡まで施行され、小腸クローン病と診断がつき、生物学的製剤などで適切な治療を行ったものの改善しなかった。

こういった場合にどういう疾患を鑑別に挙げるべきであるか?

 

鑑別疾患

サルコイドーシス

サルコイドーシスは肉芽腫性疾患で典型的には20-40歳代の女性にみられる。消化管症状は稀だが、起こるときは胃に多い。

ベーチェット病

クローン病と同様に回盲部に病変をつくることが多い。ただしベーチェット病では先に口腔潰瘍がでて、数年後に消化管症状がでてくる。

感染症 

サルモネラ・エルシニア・カンピロバクターでは慢性的な消化管症状をきたすことがある。

腸結核

この患者ではT-SPOT陰性だが腸結核の除外はできない。

T-SPOTは特異度95%以上と診断するには向いているが、感度は80%程度と5分の1は見逃してしまう。

 

また炎症性腸疾患Inflammatory bowel disease IBDのモニターに用いられる便カルプロテクチンも感染性の病態では炎症が起こるため炎症性腸疾患と腸結核の鑑別には使えない。

 

最終的な診断は組織診断を行うしかない。

この患者の最終診断は腸結核で4剤併用療法(リファンピン、イソニアジゾ、ピラジナミド、エタンブトール)で治療された。