アニオンギャップ開大型アシドーシスの鑑別

アニオンギャップ開大型アシドーシスの5つの病態を列挙できるようになろう!

参考
Engl J Med 2019;380:1657-65.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1900591

54歳男性 アルコール離脱症候群 意識障害
診断:口腔洗浄剤に含まれるイソプロパノールによる中毒症状

 

アルコール依存患者でアルコール離脱症候群があり意識障害のため入院となった。

大量のウォッカを飲んだとのことだがメタノールなどの中毒性アルコールの内用は否定した。
嘔気嘔吐、頭痛、幻聴、胸焼け、蟻走感あり

身体所見では頻脈・頻呼吸・高血圧・舌のFasciculationあり
血中アルコール濃度は10時間前に飲酒を止めているにも関わらず136mg/dLと高値だった。

1時間でアルコール濃度は20㎎/dL低下あり
Anion gapは21、HCO3 19mmol/L。低Alb血症なし。Lactate 5.1mmol/L、尿ケトン陽性

入院時の状況は乳酸アシドーシス+アルコール性ケトアシドーシス

 

日本ではアルコール濃度は測定できないので浸透圧ギャップを計算する
浸透圧ギャップ=実測血漿浸透圧-計算上の浸透圧(2×Na+血糖/18+尿素窒素/2.8)

浸透圧ギャップが10以上の場合は何か浸透圧を形成する物質が溜まっているのではないかと考える
臨床的に多いのはアルコール

 

入院し症状は改善したが…

入院5日目に頻呼吸や頻脈が再度出現し意識障害もあり、AG 20と開大し飲酒していないにも関わらずAG開大型アシドーシスが出現した

 

入院中というセッティングだと
急性発症の意識障害の原因となる代謝異常は
高/低血糖・高/低Na血症・高Ca血症

施設によりけりですが血液ガス分析で上記の意識障害が可能ですね

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AG開大型代謝性アシドーシスの鑑別

5つの病態を列挙できるようになろう

先天性代謝異常(プロピオン酸血症、脂肪酸酸化酵素欠損など)

乳酸アシドーシス

ヒトで測定されるのはL-Lactate
D-lactic acidosisでは意識障害や記憶障害、小脳失調などが出現する。
通常ヒトの体では小腸でほとんどのグルコースが吸収されるため大腸にはグルコースが届かない。小腸での吸収を阻害する要因(手術後、腸蠕動低下させる薬剤、ブラインドループ、小腸閉塞)、小腸細菌叢の変化(抗菌薬)、大腸に届く炭水化物(セルロースやフルクトース)、制酸薬によるpH変化での細菌叢成長などによりD-lactate産生がおきAGMAとなることがある

ケトアシドーシス(アルコール、糖尿病)

 

腎不全

 

中毒(Drug or toxin)
口腔洗浄液にイソプロパノールが含まれておりこれの大量内服によるAG開大代謝性アシドーシスだった!