多発性硬化症(MS)は、脳、脊髄、視神経に炎症性障害を引き起こす中枢神経系の自己免疫疾患です。症状は多彩で寛解,再発する疾患なので初見で診断するのは非常に困難です。
よくわからない神経症状を呈する患者をみたらMSを鑑別に挙げましょう(暴論)
国家試験ではMSとNMOを同じところで扱いますが鑑別ポイントがいくつかあります
- NMOの特徴
視神経炎は両側が多い
脊髄に広範囲に広がる(MSは分節性)
髄液で著明な好中球優位の白血球増多(MSは正常~軽度増加)
アクアポリン4抗体陽性(感度特異度はともに91-100%)
髄液のオリゴクローナルバンド検査はMSで90-95%が陽性となるものの、NMOでも25%が同様の所見を呈するため鑑別には使えない。
MSの鑑別疾患
神経系
・ADEM
・NMO
・Idiopathic transverse myelitis
膠原病
・SLE
・シェーグレン症候群
・サルコイドーシス
代謝性疾患
・成人発症型白質ジストロフィー
・ビタミンB12欠乏
・銅欠乏
感染症
・HIV
・ライム病
・梅毒
・HTLV
血管系
・脳卒中を起こしうるもの(過凝固・過粘稠)
・中枢神経血管炎
・Susac症候群
・片頭痛
・CADASIL
・中枢神経悪性腫瘍
・パラネオ
・身体表現性障害