Functional movement disorder

患者は意図していない、不随意であり辛いと思うが医療者は軽視しがち

“Whack-a-mole” signを見たことがあり、印象に残ってます

 

Functional (Psychogenic) Movement Disorders – Clinical Presentations
Parkinsonism Relat Disord. 2016 January ; 22(0 1): S149–S152.

Functional or psychogenic movement disorders(以下FMD)は診断は難しいものの、病歴や身体診察から診断することができ、決して“除外診断”ではない!
患者は不安Anxietyや鬱Depressionを抱えていることが多い。
DSM-5ではFMDはConversion DisorderやFunctional Neurological Symptom Disorderに分類される。
FMDは患者の意図しない、不随意な運動であるということを認識するのが重要。臨床医は患者が意図して動かしている、本当ではない動きと思ってしまい患者に対する興味を失ってしまう。そして残念なことにFMDの治療には他の疾患よりも時間がかかる。

FMDは器質的疾患でも合併することがあり、頻度は10%と程度と見積もられている。

医師はFMDと診断したがらないし、患者も器質的疾患があるのではないかと思うのでドクターショッピングをしがちである。

病歴聴取
ストレスを契機にFMDがはじまることが多い。
症状はときに2か月以上続いたあとぴたりと止み、6か月後に再び出現するなどランダムである。
振戦だった症状がけいれんになったり、右手にあった症状が左手や脚に移動するなどの表現型もある。(都合のいいことに)けいれんは座っているときや臥位になっているときに起こり、決して立っているときや歩いているときには起きない。

現在ストレスになっていることや不安、鬱に関して問診が必要だがしばしばこれらの要素は否定される。
若いころ(Early life)での外傷やストレスの問診はしておく。
小児期の身体的・性的・精神的ストレスの影響が続くことがある。これは精神的な問題だけでなく脳の発達にも影響を及ぼす。
不眠や疲労などの問診も重要である。
神経所見と比較してDisabilityが目立つことがほとんど。

 

身体診察
病歴聴取のときにFMDが出現しないか見ておく。話に集中しているときは通常FMDは出現せず、身体診察を始めようとすると出現する。
もしくは病歴聴取の前半は高頻度にFMDが出現するが、病歴聴取の後半には症状は出現しなくなっている。
患者は1週間に1回くらいの頻度でしか出現しないと言うものの、身体診察の時に何回も出現するのもポイントである。
また、例えば振戦であれば診察時はよく見られるのに、靴を脱ごうとするとき、計算問題などを行っているときは消失する。

患者のAnxietyやDepressionのレベルを評価するのも大事。
(しかし世界的にAnxietyやDepressionの患者が多く、FMDと一般人口では差はみられない)

人格についても評価する。ある大規模研究では人格的特徴に有意な差はなかったが、唯一傾向がみられたのはニューロティシズムneuroticism(悲観的な感情を表出するタイプ)だった。

モグラ叩きサイン“Whack-a-mole” sign
不随意運動をしている部位を抑えて動かないようにすると他の肢に不随意運動が起こる

不随意運動であるにも関わらず、検者の指示で抑えることができるときもある。

振戦Tremorが最も多いFMDの表現型である。モニタで観察すると患者が思っているよりも振戦が起こっている時間は短い。
器質的疾患による振戦と異なり、安静時・姿勢時・動作時どれでも起きるのも特徴。
振戦が指に起こることは稀
振戦のfrequencyはときにより異なり、体の他の部位の振戦とfrequencyが合うこともある(患者にある肢を一定のリズムでTapさせると他の不随意なはずの肢も同調するようになる)。
一定のリズムで動かすのが難しい場合は“ballistic movement test”を行なう
一方の上肢で早い動き(指鼻試験などでOK)をさせるとその間もう一方の振戦が止まる。

ミオクローヌスもよくみられ、真のミオクローヌスと比較しゆっくりで複雑な動きである。刺激に対して反応する場合、刺激に遅れて出現したり、持続時間が長いのも特徴である。この特徴を利用すると、打腱器で叩こうとして直前で止めてもミオクローヌスが出現する。

心因性ジストニアもよくみられる。そもそも真のジストニアが突然起こり、複雑な動きであるため心因性ジストニアとの鑑別が難しい。
CRPSに合併するpost-traumatic fixed dystoniaは心因性とされる。

心因性パーキンソニズムはそれほど頻度は多くなく、たまにみられる。繰り返し動作での連続効果がなく、筋固縮はあるものの歯車様固縮ではない。

Functional gait disorderはよくみられ、いわゆる歩行障害のパターンには当てはまらない。
患者の言い分よりもバランス感覚がよいのが特徴。歩行時の膝折れはよくみられるパターン。