低Ca血症の鑑別

N Engl J Med 2017;376:2266-75.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1616019

 

14歳男性 嚥下時の窒息感
診断:偽性副甲状腺機能低下症
key:血液検査で低K血症、高P血症の存在

 

嚥下時の窒息感という主訴の鑑別は

気道の物理的閉塞
腫瘍や扁桃周囲膿瘍などの感染症など
気道のneuromuscular dysfunction
狂犬病や後頭蓋窩腫瘍によるvorcal cord dysfunction
GBSの亜型であるMiller-fisher syndrome
ベル麻痺の亜型
高度な電解質異常

今回のケースは低Ca血症によるneuromuscular dysfunctionと考えられた

 

低Ca血症の鑑別
ビタミンDの異常
皮膚での産生・消化管からの吸収⇒肝臓での水酸化(25-hydroxyvitamin D)⇒尿細管で産生される1α-hydroxylaseによる1,25-hydroxyvitamin Dのコンバート⇒レセプターに結合という経路をたどる

端的にいえば欠乏またはレセプターの異常に分けられる
ビタミンD作用低下では低K血症・低P血症というパターンをとる(腸管でのCa,Pの吸収促進、腎でのCa再吸収促進が主な作用 血中Ca濃度上昇によりPTHは抑制される)

副甲状腺機能低下症 hypoparathyroidism
最も頻度が高いのは甲状腺手術後
DiGeorge syndromeなどの遺伝子異常もままある

真の副甲状腺機能低下症の場合、P低値や低Ca血症があるにも関わらずPTHが正常範囲内というのが検査結果のパターン

 

偽性副甲状腺機能低下症 pseudohypoparathyroidism
偽性副甲状腺機能低下症はPTHのレセプターに問題がある
PTHの作用はG蛋白共役型受容体への結合⇒細胞内cAMP濃度上昇⇒遠位尿細管でのCa再吸収促進・近位尿細管でのP再吸収抑制・骨再吸収促進による血中Ca濃度の調整である
type 1aは腎のPTH作用抵抗性があり尿中cAMPやP排泄はPTHを投与しても増加しない TSHへの抵抗性が併存しAHOを有する
type 1bは腎でのPTH抵抗性と軽度のTSH抵抗性があるがAHOは合併しない
type 1cは1aと似ているがin vitroでのcAMP産生は保たれている
type 2はいろいろな亜型があるがPTH投与でcAMPは増加するが尿中P濃度は増加しない