双極性障害Review NEJM

双極性障害 Bipolar disorder
N Engl J Med 2020;383:58-66.
DOI: 10.1056/NEJMra1906193

 

躁症状Manicまたは軽躁Hypomanicと鬱症状Depressiveが繰り返される。Type1,2の2つがあり

 

Type1と2の違いは

Type1は明らかな躁症状(自信過剰、誇大、多弁、著明な脱抑制、いらいら・短気、睡眠時間の短縮、気分高揚)をもつ。妄想や幻覚は75%に合併する。

Type2は鬱症状がメインで軽躁が繰り返される

 

 

発症の年齢帯は20歳前後であり、発症が早いほど予後不良・治療期間が長い・重症な鬱症状・不安や物質使用障害substance use disorderと関連がある。

 

多くの患者は躁・軽躁症状よりも鬱症状のほうが期間が長い。

 

双極性障害のスクリーニングツールはいろいろあるが偽陽性が非常に多い。

また、3分の1の患者は症状出現から10年経過してから診断される。

 

生涯有病率は2.4%程度

Type1は男女差はほとんどなく、Type2は女性に多い

プライマリケアセッティングでは双極性スクリーニングで陽性となったのは人口の9.8%と非常に多く、偽陽性が非常に多いことがわかる。一方で未診断・未治療の患者も多いと考えられる。

またうつ病と診断された患者の15%は双極性障害だったという報告もある。

 

 

双極性障害患者の6-7%は自殺企図がある。一般人口よりも20-30倍自殺率が高い。

自殺企図は女性の方が多く、実際に自殺してしまうのは男性が多い。

 

 

合併症

その他の精神疾患の合併がみられる

不安障害 71%

物質使用障害 56%

パーソナリティ障害 36%

ADHD 10-20%

 

一般人口に比較して内科疾患の合併も多く

代謝性疾患 37%

片頭痛 35%

肥満 21%

2型糖尿病 14%

 

 

遺伝性は70-90%

 

脳の構造や細胞機能変化が観察され、長期の観察研究では脳皮質の菲薄化やミトコンドリア機能の変化が示されている。

 

 

双極性障害の鑑別

早期の前頭側頭型認知症

神経梅毒

甲状腺機能低下症

貧血による倦怠感

非代償性心不全

神経抗体症候群(抗NMDA受容体関連脳炎など)

 

 

治療

Mood stabilizerとAntipsychotic agentの2種を使い分ける

Mood stabilizer リチウム、カルバマゼピン、ディバルプロエクス、ラモトリギン

Antipsychotic agent アリピプラゾール、アルセナピン、カリプラジン、クロルプロマジン、ルラシドン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン

各薬剤の副作用はチェックしておくべし!

 

 

急性のManiaでは1-2週間治療しても改善がみられない場合は他の薬への変更を考慮する。

特にSevereな症状の患者ではMood stabilizerとAntipsychotic agentの併用は単剤よりも有効。

FDAで認可は受けていないがハロペリドールやパリペリドンは急性のManiaに効果があることが示されている。

 

急性の鬱症状ではFDAの認可を受けているのは4剤のみ(カリプラジン、ルラシドン、クエチアピン、オランザピン)

鬱症状の治療時は薬剤有害事象がかなりでやすいため注意!

 

2剤併用療法は単剤よりも有効なことが多い

オランザピン+フロキセチン>オランザピン

リチウム+ラモトリギン>リチウム

クエチアピン+ラモトリギン>クエチアピン

 

 

長期コントロール

リチウムはManiaと鬱症状の発作予防に最も効果あり。

リチウムの副作用は甲状腺機能低下症や高Ca血症(高PTH)、腎機能障害

 

薬剤抵抗性の双極性障害では電気痙攣療法electroconvulsive therapyも考慮される