咽頭後壁に液体貯留をきたした頚部痛

疾患の名前は知っていても鑑別として挙げることができなかった悔しい症例を共有します。
外勤時、空いている時間はミニ症例カンファやレクチャーをやっていてその時に相談されました。

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40歳代男性 頸部痛
受診の数日前から頸部痛を自覚した。発熱を伴い痛みのため頚部の回旋ができなくなった。以前にもこういった症状が何度か経験あり、自然に寛解してたものの今回は症状が強いため近医受診。髄膜炎疑いで紹介受診となった。

頚部前後屈は痛みを伴うものの可能で、回旋が痛みのため困難。軽度の嚥下時痛と開口障害あり。
身体所見ではバイタルサインは微熱があり意識清明、Jolt accentuation陽性でしたが頚部に圧痛などはなかったそうです。その他神経学的異常所見なし。

CTで咽頭後方に液体貯留または浮腫性変化があり、咽後膿瘍が疑われ造影CTを行ったもののRing enhanceなしで耳鼻咽喉科コンサルトし経過観察となったそうです。

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繰り返す髄膜炎様症状のためモラレ髄膜炎を鑑別に挙げましたが嚥下時痛や開口障害が合わないなぁと思っていました。また髄膜炎ではCTで咽頭後壁に異常所見でないよなぁ…と。
診断がつかず帰宅方針となったそうで、気になった研修医が調べてみたら見事に合致する疾患があったそうです。

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石灰沈着性頚長筋腱炎Acute calcific tendinitis of the longus colli muscles
この疾患のゲシュタルトは“若めの年齢帯に起こるCrowned dens syndrome様症状”です。
その名の通り頚長筋腱に石灰化がおきCTでは咽頭後壁のC1-2の前方に石灰化をみとめます(ときに筋自体に石灰化がみられるためC3-7までの石灰化でもよいとのこと)。この症例のように頚部痛、頚部の可動域制限、嚥下困難や嚥下時痛をきたします。

治療はNSAIDsによる対症療法です。
頚部痛の鑑別で出てきますが、自分が経験したことがないため鑑別に挙げることができませんでした…不覚
レア疾患のCommon presentationは頭に入れておかないといけないですね。非常に勉強になりました。

 

咽頭後壁に液体貯留をきたす疾患
咽頭炎/扁桃炎(咽後膿瘍)
石灰沈着性頚長筋腱炎
内頸静脈血栓症
放射線療法後の変化
血管浮腫
血管炎
心疾患/肝疾患