脳梗塞の鑑別 若年者の脳梗塞

N Engl J Med 2017;376:1668-78.
DOI: 10.1056/NEJMcpc1616022

41歳男性 聴覚障害 けいれん 脱力 認知機能低下
診断:脳梗塞(MELAS)
key:MELASらしい経過
mimicker:初診時の乳酸値正常(ストレス下で高値となる

 

原因不明の蛋白尿が25歳時からある男性
数年前から認知機能低下などの症状が徐々に進行し、1年半前から急速に脱力などの症状が進行するようになった

鑑別
多発脳梗塞の鑑別

Primary angitis of the CNS
多発巣状脳梗塞があり血管炎が鑑別に挙がった 中枢神経の血管炎は稀だがある 週-月単位で神経精神症状が進行するのが典型的な経過
この患者では神経所見はperipheral neuropathyの所見だったため合わない

その他の血管病
海綿静脈洞血栓症やCADASIL( Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarct and Leukoencephalopathy の 略 称であり,皮質下梗塞と白質脳症をともなう常染色体優性遺伝性脳動脈症)、モヤモヤ病などが鑑別に挙がったが画像所見から否定的

クロイツフェルト・ヤコブ病
CJDはプリオンという感染性蛋白質による変性性脳症 表現型は急速に進行する認知症でアタキシアやミオクローヌスを伴う プリオンの型により進行速度に違いがある 腎症や筋症、聴力障害がある点が合わない

ミトコンドリア病
ミトコンドリア病の特徴としては多臓器に障害が出現する点で、神経症状はReversible
ストレス下にあると乳酸値が高値となる
この患者では最終的には筋生検で診断がついた 血液検査でMutationを調べてもターンオーバーが早かったりセレクションにより偽陰性となりやすい

MELASはミトコンドリア病の中では最もcommonで10万人あたり8-236人と有病率も高い
発症はVariableであるが20-30代で発症することが多い
聴覚障害・低身長・蛋白尿・易疲労性が20代で発症しストレス下(感染や発熱、脱水、心労など)で増悪しやすい
40代になると40%の患者がstroke like episodeを経験する
99%の患者が生涯のうちに脳梗塞になる
特異的な治療法はなく対症療法