感染性下痢症の鑑別

 

感染性腸炎が疑われる患者に対して「生肉とか半生の肉を食べていませんか?」と問診する方々がいますが
好き好んでそういったものを食べる人は極わずかです!
積極的に攻める問診を行わなければ原因となった食べ物や微生物はわかりません!

 

私のお勧めの感染性腸炎の診療の仕方は
症状から病原微生物を推定

微生物の潜伏期間から予想される摂食日と食べ物をこちらから聞き出す

というやり方がスマートだと思います。

ハリソン内科学 の感染性腸炎の鑑別表が秀逸です。一部改変したものを載せています。

上記鑑別表の原因微生物の典型的な感染経路(食べ物)も記載しておきます

毒素産生型⇒夏場の作り置きの食べ物

エンテロトキシン⇒ビブリオは海産物、その他は生野菜や食肉

腸管付着性⇒大腸菌は生野菜や食肉、ジアルジアやクリプトスポリジウムは日本では稀と思いますが典型的な感染経路は汚水からです。また、ジアルジアは糞口感染するので男性同性愛者でみられることがあります。

細胞毒素性⇒クロストリジオイデス(以前はクロストリジウム)・ディフィシルによる腸炎はCD腸炎とも呼ばれ入院中の患者でみられることが多いです。抗菌薬関連下痢症の10-25%がCD腸炎です。抗菌薬曝露以外にもPPI内服がリスクになります。

侵襲性
発熱を伴うのが特徴です。
ノロウイルスは典型例は冬場に流行する腸炎で、海産物(カキが有名)が原因といわれています。ロタウイルスは小児に流行する腸炎です。ノロウイルス・ロタウイルスともに感染力が強く、ヒトの手を介して感染することが多いため周囲の感染症流行状況などが参考になります。

カンピロバクターは鶏肉や鶏卵から感染することが多いです。カンピロバクター腸炎の面白い点は腸炎症状の出現する12-24時間前に発熱・頭痛・筋肉痛などの症状が出現することです。冬場だとインフルエンザと誤診されやすいです。

エルシニアは豚肉から感染を起こす菌で回盲部炎をきたすことから虫垂炎と誤診されやすく、偽性虫垂炎Pseudo-appendicitisと呼ばれます。