複合性局所疼痛症候群

Lancet Neurol 2011; 10: 637–48

 

CRPSのReview

サマリー
感覚や自律神経症状、代謝異常、運動異常を伴う痛みが特徴である
神経障害を指摘できない場合はCRPS-1、できる場合をCRPS-2と分類する
ただし骨折・手術後のCRPSはほとんどがCRPS-1とみなされる
CRPS-1の皮膚生検ではSmall fiber(C線維,Aδ線維)の変性をみとめる⇒痛みや自律神経に関与

 

CRPSには主に3つの病因がある
・異常な炎症
・血管作動の障害
・非適応性神経形成maladaptive neuroplasty 

 

Clinical presentation
CRPSの典型例はminor-moderateな組織障害(橈骨骨折など)後に起こる。
急性期(Acute CRPS)では障害を受けた四肢は激しい疼痛、発赤、熱感、腫脹がおこる。
また、神経・神経根の神経支配と関連しないAllodyniaやHyperalgesia,異常な発汗や毛・爪の発育異常、筋力低下などもおこる。
特にHyperalgesiaはCRPSで高頻度で観察される
この障害が持続すると痛みは改善なく、むしろ拡がり、随意運動の障害がおき、Hyperpathia,Hypoesthesia,hypoalgesiahypothrmesthsiaがおこる
つまりCRPSでは有害な感覚Positive symptomと感覚喪失Negative symptomが並存するのが特徴といえる

温感・冷感の変化、ジストニア、振戦、ミオクローヌスが出現することもある
症状は動かすことでしばしば増悪する
時間経過で病変は近位に広がることがあり(決して遠位には広がらない)時に対側や別の部位に現れることがある
5年以上経過した例では尿路症状や失神、軽度の認知機能障害がでることがある。

 

CRPSの診断はOrlando criteriaやBudapest criteriaを用いる

 

CRPSの有病率は不明。USAでは5.5人/10万人という報告あり。女性は男性の3-4倍発症しやすい。
部位としては腕60%,脚40%
年齢があがるほど発症しやすい(70歳まで)。
症状の改善する時間に関してはスタディにより異なるが74%は1年以内、36%は6年以内に改善するといわれている。
発症する契機は骨折45%,捻挫18%,待機的手術12%など。自然発症のCRPSは10%未満である

 

リスクファクター
Severity
ほぼ全ての患者が組織損傷を受けているがCRPSの発症と外傷のSeverityは関連なし。

心理的要因
CRPSを発症した群では健常者と比較しより不安や鬱が強かったというスタディあり。しかし関連がないというスタディもあり今のところ不明。

Immobilisation
外傷を受けた四肢を安静にしているとCRPS発症のリスクとなる。健常者を対象に外傷を受けていない四肢を4週間動かさないでいたら軽度のCRPSの徴候がみられた。

基礎疾患
ACE-I内服、片頭痛、喘息がCRPS発症と関連があるとされる。
ACE-IはサブスタンスPやブラジキニンなど炎症メディエーターとして重要な物質のAvailabilityを増加させてしまう