高ビリルビン血症

遺伝性球状赤血球症ではビリルビン結石による胆石・胆嚢炎が多い!

参考
N Engl J Med 2017;377:1778-84.
DOI: 10.1056/NEJMcps1701742

 

28歳男性 腹痛・嘔気・嘔吐
診断:急性胆嚢炎(基礎疾患に遺伝性球状赤血球症あり)

mimicker:間接ビリルビン高値に対し前医でGilbert’s syndromeと診断されていたこと

2年前に間接ビリルビン高値でGilbert’s syndromeと診断されていた
6週間前から間欠的な右腹部の痛みがあり、食後1-2時間で増悪していた

右腹痛の鑑別⇒虫垂炎・肝炎・胆嚢炎・腸炎・尿管結石・腎梗塞
血液検査では白血球増多あり、Bil 6.7mg/dl,D-bil 2.6mg/dl,ALT 185IU/L,AST 157IU/L,ALP101U/L
画像検査では胆嚢内にsludge(胆泥)あり、胆嚢壁の肥厚あり、軽度の脂肪肝と脾腫があった
急性胆嚢炎と診断され、Meropenemで治療開始し胆嚢炎は改善したがI-bilが高値だったためそちらが精査されることになった

 

高ビリルビン血症(hyperbilirubinemia)の鑑別
ビリルビンの代謝経路のどこに異常があるかを推定する

頻度の多いもの
無効造血(サラセミア・巨赤芽球性貧血・ポルフィリア・鉛中毒など)
溶血
胆汁うっ滞・閉塞

比較的珍しいもの
肝臓での取り込み低下(Gilbert’s syndrome、胆汁排泄性の薬剤)
肝臓での排泄低下(Dubin-Johnson syndrome,Rotor syndromeなど)
この患者ではハプトグロビンの著明低値あり、溶血による高ビリルビン血症が疑われた

溶血性貧血の鑑別
自己免疫性
微小血管障害
感染症
遺伝性

MCHC高値で脾腫もあり遺伝性球状赤血球症Hereditary spherocytosisが疑われ、末梢血液像を観察
末梢血で多数のSpherocyteを認めHSの診断となった

 

HSについて
HSは比較的多い常染色体優性遺伝疾患(劣性遺伝や孤発例もあり)
通常の赤血球の寿命は120日程度であるがHSでは20-30日になる
貧血・脾腫・黄疸が3徴
慢性的な場合ビリルビン結石による胆嚢炎などになりうる(この患者でも比較的若年で胆嚢炎を発症しているのが通常の胆嚢炎と比較しUnlikely)

重篤な合併症としてパルボウイルス感染時にAplastic crisis(骨髄無形成クリーゼ)がある
その他の合併症(皮膚潰瘍、痛風、心筋症)などもあるが稀
貧血があれば診断はつきやすいがHbがnormal-mild decreaseを示すものもある
Severeであれば脾摘を行うが、Mild HSの場合はデメリット(immune-Compromised)も考慮しなければならない