腰背部痛の鑑別 再発性口内炎の鑑別

これは読んでてとても面白かったです!ぜひ元文献を読んでください!!

参考
N Engl J Med 2019;381:970-6.
DOI: 10.1056/NEJMcps1813698

54歳男性 腰背部痛
診断:クローン病

2年前に誘因なく突然発症の鋭い、放散しない腰椎の痛みあり
6か月前から激しい背部痛のため夜間に起きることが何度もあった
起床後1-2時間続く朝のこわばりあり
NSAIDs内服で多少マシになっていた
数年間頸部・右肩・胸骨痛もあった。
発熱や悪寒、体重減少や消化器・尿路症状なし
倦怠感と右上肢の筋力低下、両側の下肢筋力低下の自覚あり
杖使用し腰帯ベルトを巻いて歩行していた
1-2年前のMRIでは多発する椎間板の変性や神経根部の狭窄あり。炎症性変化はなかった。

夜間覚醒や朝のこわばりからは炎症性腰痛症と考えらえる。

胸鎖関節や胸肋関節にも炎症所見があれば鑑別は
強直性脊椎炎
乾癬性関節炎
反応性関節炎
炎症性腸疾患

45歳以降に発症している点から強直性脊椎炎らしさはない

 

筋力低下は変性症の進行が示唆される⇒感染性・炎症性・悪性腫瘍関連

身体診察では運動感覚障害なし、脊髄症を示唆する腱反射亢進なし
韓国への頻繁な渡航歴やDMの存在は脊椎結核を考慮する
血液検査からは慢性炎症による貧血+IDA

椎間板の浮腫あり、脊椎椎間板炎の診断
上部消化管内視鏡では慢性胃炎の所見(びらんあり)
大腸内視鏡では過形成ポリープあるも特記所見なし。生検は行わず。

Multi-level spondylodiskitisは血行性の感染症を考える。しかし経過が長いため積極的には考えにくい

この患者ではツベルクリンテスト陽性で肺結節あり結核による椎間板炎の可能性はあった。
結核では通常椎間板炎ではなく椎体炎がおきる。
慢性ブルセラ症では仙腸関節炎や脊椎炎をきたすことがある。

経験的にRIPEで治療開始し、椎間板などのCTガイド下針生検を行ったが悪性所見なし。抗酸菌染色やPCRを施行したが陰性。
抗結核薬による治療で症状改善ないため4.5か月で治療中止となった。

 

強直性脊椎炎の診断でEtanerceptで治療はじめたところ、1か月後には背部痛は軽減し炎症反応マーカーも改善した。MRIでも炎症所見の改善あり。

 

IBDとの鑑別のため便カルプロテクチンを測定したが基準値内だった
参考
カルプロテクチン測定ELISAキットは、炎症性腸疾患(IBD:infl ammatory boweldisease)の糞便マーカーであるカルプロテクチン(Calprotectin)を定量します。

Etanerceptで14か月治療行なっていたところ嚥下痛が出現
実は10年来の再発性口腔潰瘍があった。

再発性のSelf limitedな口腔潰瘍の鑑別は
HIV
HSV
コクサッキーウイルス
エンテロウイルス
梅毒

SLE

口腔潰瘍+脊椎関節炎の鑑別は
ベーチェット病
クローン病

この時の腹部CTでは回盲部の壁肥厚、仙腸関節のびらん、62⇒55㎏に体重減少あり

大腸内視鏡を行い
仙腸関節炎+脊椎関節炎+口腔潰瘍+急性/慢性の回腸の炎症
でクローン病の診断となった。